コインランドリーはヨーロッパで誕生してから欧米に拡大し、その後日本にももたらされました。
日本でコインランドリーには「単身者が利用する場所」「室内が暗く狭いので女性の利用には不向き」といった印象もありますが、近年最新式のランドリー機器や防犯設備を整えた店舗が増えており、全国で需要が伸びています。
ここでは、日本でコインランドリー需要が高まっている理由と今後の展望について解説していきます。
なぜコインランドリーの需要が伸びているのか?理由を解説
コインランドリーの需要が伸びている理由は大きく分けて3つです。
都市部の単身世帯の増加
都市部は24時間営業の店舗が多く、公共交通機関や病院などの環境が整っていることから、ファミリー層よりも単身世帯に好まれる傾向にあります。
学生さん、一人暮らしの中高年層など単身世帯が増えていくにしたがって、忙しい時間を有効に使えるコインランドリーが人気となっています。
家事の時短と効率化が注目されている
コインランドリーは自宅の洗濯機よりも強力かつハイスピードで洗濯乾燥ができるため、自宅の洗濯機より時短になるという意見がみられます。
共働きや育児などで家事に時間をかけられない場合、時短が可能なコインランドリーは便利な存在となります。
防犯上の理由
女性がいる世帯では下着などの衣類を気軽に外干しできないケースがほとんど。しかし雨の日など部屋の中もじめじめとするような場合には、室内干しも難しくなってしまいます。
コインランドリーの中には、最新の防犯カメラや監視システムが備え付けられているところがあります。雨の日でも安全に洗濯乾燥ができますし、外から見られる心配もありません。
コインランドリーでしか利用できないシステムがある
「おしゃれ着用洗濯乾燥機」「ペット用品専用洗濯乾燥機」「靴専用洗濯乾燥機」など、コインランドリーにしかない設備もあります。
これらのランドリー機器は特定の洗濯物をまとめ洗いをしたいときに便利ですし、ペット用品専用のランドリーなら自宅で人間用の衣類とペット用品を一緒にする必要がないので衛生的です。
コインランドリーの需要は増え続けている
厚生労働省が発表したデータによれば、コインオペレーションクリーニング営業施設はランドリーやドライ機のみの施設と比較して、平成8年から25年にかけて1.6倍以上の伸びを表しています。
コインオペレーションクリーニング営業施設 ランドリーのみの施設 ドライ機設置施設
コインオペレーションクリーニング営業施設 | ランドリーのみの施設 | ドライ機設置施設 | |
平成8年 | 10,228 | 9,562 | 666 |
平成9年 | 10,739 | 10,051 | 688 |
平成10年 | 11,323 | 10,613 | 710 |
平成11年 | 11,843 | 11,116 | 727 |
平成13年 | 12,502 | 11,832 | 670 |
平成15年 | 12,726 | 12,156 | 570 |
平成17年 | 13,746 | 13,264 | 482 |
平成19年 | 14,840 | 14,404 | 436 |
平成21年 | 15,426 | 15,062 | 364 |
平成23年 | 15,985 | 15,696 | 289 |
平成25年 | 16,693 | 16,454 | 239 |
参照:厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/pdf/coin-operated_laundry.pdf
コインランドリーの今後の需要と将来性
ここからは、コインランドリーの今後の需要と将来性を詳しくみていきましょう。
クラウド型IoTランドリーシステムとの連携が可能に
すでに一部のコインランドリーでは、オーナーとユーザーのそれぞれがアプリなどを使って遠隔操作を行える「クラウド型IoTランドリーシステム」が導入されています。
オーナー側には売上確認や割引券配布などの業務を、ユーザー側には洗濯予約や空き状況の確認、コース選択などが可能となるため、コインランドリーの利便性をさらに高めてくれるシステムです。
店舗内や他業種との連携が進む
商業施設の中にコインランドリーが出店するケースや、カフェなど他業種と提携し出店する新しい業態が登場し、注目を集めています。
ランドリーの利用中に時間が空いてしまうので、その時間を有意義に過ごしたいというニーズに応えるかたちでさまざま試みが始まっており、今後さらにコインランドリーの業態は魅力的なものに変化していくと考えられています。
日本のコインランドリー普及率は欧米より断然低い?!
コインランドリーはかつてイギリスから欧米へ広まり、日本にもたらされました。残念ながらまだ日本国内ではコインランドリーの普及率は高くはなく、欧米に比べると非常に低い状況です。
利用者層は圧倒的に主婦が多い
日本では、コインランドリーの利用者のうち約7割が主婦(主夫)であると言われています。
家族の人数が多いほど洗濯に手間がかかりますし、コインランドリーを利用している間に買い物や用事を済ませるなど、空き時間を工夫して利用している人も少なくありません。
また、近年では共働き世帯が増加し、主婦(主夫)でありながら仕事も掛け持ちしている方も増えてきました。
しかし国内全体を見渡してみると、コインランドリーの普及率はわずか5%にとどまっています。便利なサービスではありますが、「自宅からコインランドリーまでが遠い」「スマホで決済できるコインランドリーが近くにない」「洗濯物を持ち運ぶのが面倒」など、さまざまな理由からランドリーの利用を敬遠する声も。
コインランドリー経営の今後の展望
普及率がわずか5%と言われるコインランドリー。将来、コインランドリー経営はどのように変化すべきなのでしょうか。
利便性の高いサービスを打ち出していく
利用しやすい立地、スマホ決済などのシステム、清潔な店内など、「洗濯物を抱えてでも来店したい!」と思わせるサービスがあれば、コインランドリーの需要は高まっていくことでしょう。
若者にも受け入れられるお店づくりを目指す
利用者層の7割は主婦(主夫)と言われていますが、これからの時代は口コミによる拡散能力をもつ若年層をターゲットにするなど、世代を超えて受け入れられるための工夫が必要です。
利便性や来店のしやすさが第一
従来のコインランドリーは暗く、狭くて古びた場所というイメージが強いため、そのイメージをもったままの方も少なくありません。
これからのコインランドリーは、若い人にも気軽に来店できるような清潔さや明るさはもちろん、他業種との連携や利便性を追求した場所ほど歓迎されると考えられます。
ぜひ、長期的な経営も見据えて未来志向のコインランドリー経営を考えてみてはいかがでしょうか。